開咬(噛み合わない)

開咬(OPEN BITE)とは

開咬(OPEN BITE)は、出っ歯、受け口、叢生などとは関係なく、咬んでも上下の歯が咬み合わない状態です。(参照:下の写真のような状態です)開咬は、前歯に出ることがほとんどですが、前歯は咬合しているが側方が咬まない側方OPEN BITEもあります。

開咬では普通に咬んだ状態で唇が閉じないことが多く、口唇を閉じると顎に梅干し状にしわが入るのが特徴です。(参照:下の写真)開咬は上下(垂直的)の問題で、出っ歯や受け口は前後(水平的)の問題のため、出っ歯で開咬、受け口で開咬など併発します。

混合歯列の開咬(出っ歯+開咬)

黄色:奥歯で咬んだとき、上下の歯が咬み合わせない(隙間がある) 赤色:梅干し状のしわが入る

永久歯列の開咬(出っ歯+開咬)

開咬の原因とは

では、開咬の原因を考えてみましょう。 不正咬合は、①遺伝などの先天的な要素と②悪習癖などの後天的な要素から出来上がっていきます。

先天的な要因で開咬になってしまっても、年とともに開咬の度合いが変わらない場合と悪化していく場合があります。 この悪化していく原因あるいは咬合していたのに開咬になってしまった場合の要因が後天的要素です。後天的な要素というのは、いわゆる悪習癖で悪い姿勢・口呼吸・べろの癖・指しゃぶりや唇をかむ癖などいろいろとあり、悪習癖は口周囲の機能に大きく影響し、機能が崩れると不正咬合が悪化していきます。開咬を悪化させる悪習癖の代表は「指しゃぶり」です。

指しゃぶりについて、
指しゃぶりがでる時期により、一過性のものなのか、悪習癖なのか、区別が必要になります。

一過性の指しゃぶり
乳児で指しゃぶりがでるのは一概に悪習癖とは言えません。
この時期は体が大きくなるだけではなくいろいろな感覚も成長する時期で、自分の体のどこに何があるかを手で覚えている時期です。乳児が指をしゃぶっているのは、口の位置がどこにあるのかを手で確認し、脳へ情報を送っている行動で、ものを口に入れるのは口に入る大きさを確かめている行動です。また、指先の感覚を育てるためには欠かせない行動で、この時期の指しゃぶりやものを口にくわえる行動を排除すると口と手の位置感覚が育たないため、離乳食中にスプーン、フォーク、箸がうまく使えず、ぼろぼろこぼして食べるようになります。従って、この時期の指しゃぶりは成長に必要な一過性のものであるため無理にやめさせないように指導しています。

離乳食が終わり、幼児期へ移行する時期にまだ指しゃぶりが残っている場合はやめさせるように指導しています。
顎は、上顎と下顎で成長時期が異なり上顎は幼児期から10才頃までに大きく成長するため、この時期に指しゃぶりが残っていると開咬を骨格的な不正咬合へ悪化させる悪習癖となるためです。

開咬を放置すると

成長期の開咬を放置すると、構音障害が生じ、聞き取りにくい、活舌が悪いなど生活に支障がでることがあります。また、不正咬合は成長とともに骨格性開咬へ変化し、出っ歯、受け口を併発することが多く咬合治療では抜歯治療となります。この時期に、開咬を改善することで構音障害のリスクを回避し、また、顎の大きさや機能的問題をコントロールすることで、咬合治療で抜歯リスクを軽減することができます。

治療の開始時期は?

成長期治療

3才以降から治療は可能です。幼稚園入園、小学校入学など友達が増える時期に構音障害(発音が正しく出来ない症状)に気づき、この時期に治療を始めるお子さんが多いです。

咬合治療

永久歯へ歯が生え変わった11~12才頃からスタート可能です。

開咬の治療方法

開咬の治療方法は、咬合させるということです。
開咬の症例では口呼吸が併発しているため、上下歯列の幅が狭くなっており、通常は上の歯列内に収まっている舌が歯列内に収まらず低位舌となり開咬部に舌が突出するため開咬が悪化していきます。従って、開咬の治療で必要なのは機能を正しくすることで、舌や口唇の訓練を矯正治療と併行して行います。

開咬の治療では上下の歯を咬ませるために写真のような顎間ゴムを使います。このゴムで上下の歯をお互いに引き寄せて咬合させますが、舌や口唇が開咬部に入りこむと効果がでないため、舌や口唇の悪習癖を改善します。舌の悪習癖は咬舌癖、舌突出癖などと言われる舌の位置が安定しない状態で、安定させるためには狭くなっている上下顎歯列の幅を広げ(拡大)、舌が収まる空間をつくり、口呼吸を鼻呼吸へ改善します。

成長期の治療では、拡大後に開咬を改善し出っ歯、受け口の治療に準じて進めていきます。 咬合治療では、水平的な不正咬合、叢生など総合的に評価し抜歯、非抜歯を決めて治療を行います。

成長期からの開咬治療

【症例1】混合歯列期の開咬で出っ歯、叢生、犬突を併発、口元は口唇閉鎖不全で、構音障害あり。 治療は、上下顎歯列拡大、前歯の並べなおし、顎間ゴムで開咬の改善を行い、ファンクショナルアプライアンスで出っ歯の改善。咬合治療は、抜歯で治療

成長期治療(側方拡大+前歯レべリング+開咬改善)

初診

以下の装置でアーチを大きくし、前歯をそろえます。(写真は症例1とは異なります)

前歯をそろえた後、ファンクショナルアプライアンスで出っ歯の改善

ファンクショナルアプライアンスでの出っ歯改善後。出っ歯、口元が改善、ファンクショナルアプライアンスでの効果は限界と判断し、咬合治療へ移行。叢生、口元から咬合治療は抜歯治療と診断。

ブラケット+ワイヤー+顎間ゴム

抜歯治療後:咬合良好、口元は口唇閉鎖不全の軽減

咬合治療のみの開咬治療

【症例2】前歯部開咬、V-shaped arch、口元問題なし
治療は非抜歯法で治療、上下顎拡大、マルチブラケット法、顎間ゴム、機能改善(口呼吸、舌位、姿勢など)

非抜歯法:マルチブラケット法

初診

以下の装置で拡大および歯並びの改善(写真は症例2とは異なります)

咬合治療終了:咬合、口元ともに良好

【症例3】前歯~小臼歯部開咬、V-shaped arch、左下1先欠、口唇閉鎖不全
治療は抜歯法で治療、上下顎拡大、マルチブラケット法、顎間ゴム、機能的改善(口呼吸、舌位、姿勢など)

上顎抜歯法(但し左下1先欠):マルチブラケット法、3incisor finish

初診

以下の装置で拡大および歯並びの改善(写真は症例3とは異なります)

咬合治療終了:開咬の改善、口唇閉鎖不全の改善(3incisorのため正中は不一致)