なぜ矯正治療は小学二年生からがいいのか?

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小児矯正歯科治療の治療開始時期

顔は適正に成長すると大きくなるとともに口元の突出感が改善し、永久歯が生えるスペースが増えてきます。
成長による口元の変化は小学生以降から徐々に始まり、中・高学年で旺盛に成長し、12~13歳ころには大人の顔立ちへと変わります。
この成長は適切な歯列の形態、舌や口唇の機能が備わっていないと生じません。

小児矯正治療の目的は、歯列形態、口唇・舌機能の修正を行い適切な成長を促進させるための環境づくりを行い、可及的に永久歯列を非抜歯で不正咬合や噛み合わせを改善することが目的です。

環境改善には1~1.5年程度の期間が必要なため、上記の目標を可及的に達成するためには、まだ十分に成長力がある小学2年生からスタートするのが最適です。
言い換えると、旺盛に顔が成長する中・高学年までに環境づくりを終了し、成長力を引き出すようにしておくことが治療のポイントとなります。

また、矯正治療はなにかしらの装置を使用しますが、装置の効果は側方乳歯が残っている方が効果が出やすくなります。小学2年生は前歯が生え変わり6歳臼歯が出ている状態で側方乳歯は残っているため効果が出やすい歯列になっています。

さらに小学生になると人に接する機会が格段に増え、性格などが幼児から小児に代わる時期で、小学2年生は特にその傾向が強く、小学校の集団生活を一年間経験し周囲の環境への適応力が身につき、人と会話ができるようになり、理解力も向上する時期になります。矯正治療はお子様とおうちの方の協力が必要なため、会話が成立してきた小学2年生は治療スタート時期にちょうど良い時期になります。

この時期はお子様だけではなく、おうちの方も情報量が増えよく検討したうえで治療を開始できる時期にもなります。

以上のように、小学2年生は十分にある今後の成長力、治療効果が出やすい歯列、治療の対応への向上、おうちの方の情報増加が重なりあう治療開始にちょうど良い時期といえます。

治療開始が小学3年生以上になっても、成長力は個々で違います。
できるだけ早く環境改善を行うことでより一層よい治療結果が望めます。

まだ小学2年生になっていないお子様では、舌や口唇の正しいポジションの練習から始め、小学2年生ころからアーチの形態修正をスタートします。
歯列の形態は、内側から外側に歯を押す舌と内側に押す口唇の圧のバランスが取れた形になります。舌と口唇が適切に機能しないで成長すると歯列の形態は前歯を頂点としたV字型になり、この形態が適正な成長を阻害し、咬合治療後でよくなった歯並びを崩す原因になります。
歯科矯正治療を進める場合は、何歳から始めても大人でも舌と口唇が歯列に適切な圧がかかるように機能訓練を行います。
機能訓練は舌・口唇・飲込み(嚥下)・鼻呼吸・姿勢などを良い状態に回復する練習で、よくするのに非常に時間がかかるため、おうちの方にご理解をいただいたうえで形態修正の治療に先立ち機能訓練を開始します。

小学2年生まで待たない方がいい不正咬合もあります。
それは著しい不正咬合です。まだ乳歯列期、幼児期にもかかわらず凸凹、出っ歯、受け口、開咬が強い不正咬合は、小学2年生からの小児矯正治療で効果が出る状態まであらかじめ改善しておきます。
また、顎偏位の不正咬合は程度が強くなくても早期から治療を開始することが必要です。

成長期の小学生以下のお子様は成長による顔立ちの変化があるため、永久歯列の矯正治療の考え方とは異なるため、お子様の治療開始時期のご相談は小児矯正歯科医を受診されることをお勧めします。

当院では成長期、咬合治療を通して固定装置(ブラケットなど)を必要最小限に抑えて治療を行うことを目標にしています。
成長期で適切な成長となる環境づくりを行った後は、永久歯が生えてくる力を利用して上下の歯がうまくかみ合うように誘導する咬合誘導装置を使用します。
咬合誘導装置は就寝時に使用する装置のため、友達などには気づかれません。
歯が生え変わった時に問題なくかみ合っていれば治療終了となります。
必要により最終的にブラケット治療が必要でも、従来の進め方よりも期間を短縮できます。
従来、成長期治療後は永久歯の生え変わりを待ってからブラケットで治療を行いますが、咬合誘導法では永久歯への生え変わりを待つ間が治療期間となります。
この方法を効果的に行うためには、側方歯の生え変わりを迎える3~4年生ころに咬合誘導装置へ移行しているのが適切な進め方になります。
咬合誘導装置の効果を最大限に有効活用するためには、小学2年生から小児矯正歯科治療を開始するのが適切な時期となります。