小学生の矯正歯科治療

小児歯列矯正

治療の流れ

  1. 初診:不正咬合のチェック、治療概要の説明
  2. 精密検査:レントゲン、模型、写真などを分析し、治療方針、治療開始時期、費用を決め説明します。(初診で説明した治療が実際に可能かを確認します。)
  3. 治療:動的治療
  4. 保定

成長期矯正治療のキーワード

  • メンタルケア
  • 成長のコントロール(悪い成長は抑制し、弱い成長を促進させる)
  • 機能改善(悪い癖を改善し機能を高める)

この時期に治療をしないで放置すると

  • メンタルの問題
  • 適切な成長が起こらず、咬合治療で抜歯をするリスクが高まる

という二つのリスクが生じます。この時期に行う成長期矯正治療の目的はメンタルケアと適切に成長する環境の回復になります。

メンタル的なリスク

この時期の不正咬合の子供たちは自分にしかわからない悩みがあります。この時期の子供たちは体の成長とともに、メンタル面も盛んに成長していて、咬み合わせや不正咬合のことを気にする年齢になっています。

「子供がそんなことを気にするのか」という方もいらっしゃいますが、親御さんとお子さんの世代では大きな違いがあります。それはメディアの発達で、今の子供たちはテレビなどを通じて自分が出っ歯なのか受け口なのかなどをわかっています。テレビでは、人気者が出っ歯・受け口のネタをするため、子供たちが自分の不正咬合に気づかないわけがありません。

咬み合わせが気になるとそれをカモフラージュしようとして、出っ歯の子は下顎を前に出して出っ歯を隠し、受け口の子は顎を引いて下顎がでているのを隠すことをします。この行動をする子共は咬み合わせが普通とは違うということをわかっているため、その悩みをご家族が気づいてあげることが大切です。

顔立ちの成長について

この時期は子供の顔立ちから大人の顔立ちへ成長する時期になります。上下顎とも成長が旺盛な時期で、上顎は10才頃まで続きその後徐々に成長力は弱くなり、この頃から下顎が旺盛に成長しはじめます。小児歯列矯正治療では顎に成長力がある時期に、顎が成長する環境に整え、悪い癖(口呼吸・指しゃぶり・悪い姿勢など)を治し機能を高めると、大人の顔立ちへ成長し、口元がきれいになっていきます。

不正咬合や歯並びの悪い状態、口や口周囲の機能が悪いとこの変化が起きないため、咬合治療で抜歯となるリスクが高まります。この時期から矯正歯科治療を始める利点は、咬合治療で抜歯するリスクを下げ、非抜歯治療を高める効果です。

非抜歯矯正治療詳細へ

また、放置すると骨格的な不正咬合へ移行し、咬合治療での抜歯リスクがさらに上がり、重篤な症例では歯を動かすだけでは改善せず、上下顎の骨格の長さや大きさを合わせるためのOPEを併用する外科的矯正治療になることがあります。

成長期矯正治療について

成長を利用した治療を行います。各不正咬合の矯正歯科治療は以下ご参考ください。 すべての不正咬合の治療に共通するのは、舌、口唇、呼吸、姿勢などの機能の改善と向上です。矯正治療と併行して行います。

小学生で、「永久歯列になってから治療しましょう」と言われた患者様へ

成長期に不正咬合を放置する=咬合治療(永久歯列の矯正治療)の抜歯リスクが大幅に上昇し、非抜歯治療の可能性を消してしまいます。
お子様によって成長のスピードはまちまちなので、小学生の高学年でも十分、成長期矯正治療が間に合うお子様も多いので、非抜歯治療のチャンスを逃さないためにもまずはご相談ください。

小学生限定モノブロック矯正治療

小学生の成長期矯正治療をおこなった後の咬合治療は、モノブロック矯正治療で行います。この咬合治療は成長期矯正治療を行った小学生限定で、夜寝る時に装置を使用し生え変わりの永久歯を適切な位置へ誘導し、生え変わり終了時に咬合させる方法です。

モノブロック矯正治療

不正咬合別の治療

叢生(でこぼこ・乱杭歯)

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • リテーナー or モノブロックシステムへ移行

永久歯が生える隙間をつくり、顎が適正に成長する環境づくりを行います。 この時期にでこぼこの量を減らし、成長により口元をよくしておくことで咬合治療では非抜歯治療を高めます。

叢生について

出っ歯(CLⅡ-1:上の前歯が突出タイプ)

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • ファンクショナルアプライアンス(バイオネーター、トイシャーなど)
  • ファンクショナルアプライアンス継続 or モノブロックシステムへ移行

顔立ちの成長があるうちに出っ歯を治します。
出っ歯を治すことでメンタルケアにもなります。
咬み合わせは、出っ歯を改善し、成長による口元の改善、永久歯の生えるスペースをつくることで非抜歯治療を高めます。

出っ歯について

出っ歯(CLⅡ-2:上の前歯が引っこみタイプ)

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • ファンクショナルアプライアンス(バイオネーター、トイシャーなど)
  • ファンクショナルアプライアンス継続 or モノブロックシステムへ移行

この不正咬合は、前歯をいい状態に改善すると上記のCLⅡ-1になります。
従って、顔立ちの成長があるうちに出っ歯を治します。
また、このタイプは上の歯が下の歯を必要以上に被っているため、下顎の動きが悪く咀嚼効率が悪い状態ですが、治療により咀嚼効率(咬む機能)が高くなります。
出っ歯を改善し、成長による口元の改善、永久歯の生えるスペースをつくることで非抜歯治療を高めます。
治療を行うことでメンタルケアになります。

出っ歯について

受け口(反対咬合)

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • リテーナー or モノブロックシステムへ移行
  • 必要によりチンキャップ or フェイシャルマスク

治療は、上の前歯を下の歯よりも前に出します。
受け口を治すことで、メンタルケアになります。
受け口は放置すると骨格性の反対咬合へ移行し、顔立ちは三日月様になります。重篤な受け口になると咬合治療では外科的矯正治療になることがあります。

受け口について

開咬

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • 前歯部顎間ゴム
  • 出っ歯・受け口の治療参考

写真の上下前歯は、舌突出癖のためこれ以上生えてきません。放置すると骨格性開咬へ移行しそうな状態です。
悪習癖を改善し、上下の歯を咬ませます。
治療すると、発音も、審美的にもよくなり、メンタルケアにもなります。

開咬について

/kaikou/

装置
  • QH
  • BH
  • 上下前歯ブラケット
  • 顎間ゴム

まだ、左右下顎枝の長さが同じなので、下顎の正中を顔面正中にあわせることが可能な段階です。骨格性の顎偏位へ移行する前に改善が必要です。
治療することで、骨格的顎偏位の予防、メンタルケアにもなります。

幼児・小児の機能的顎変形症について

口元が悪い

装置
  • 矯正歯科治療は、各不正咬合に準じます。
  • 口元がでている
  • 口唇が閉じない
  • 口唇を閉じると顎に梅干しがでる

顎の成長が適正になるように環境を整えると写真のように改善します。

12歳までの矯正

永久歯が生え揃ってないのに矯正をするはなぜか

「まだ乳歯があるのに矯正治療ができますか?」
「永久歯が生えそろってからではいけませんか?」
など小児矯正について、保護者の皆様からご質問を頂きます。
「子供の矯正」「小児矯正」は、受け口や重篤な不正咬合では、乳歯列期からはじることもありますが、年齢でいえば8歳前後、永久歯と乳歯が混在する混合歯列期から行うのが最適です。混合歯列期に顎が適正に成長すると、口元の突出感が徐々に消えてきれいな大人の口元へ変化していきます。

不正咬合のままではこの変化が起こらないため、「子供の矯正」「小児矯正」では、成長を阻害している要因を改善し、顎骨に矯正力を応用することで、適正に顎が成長するような治療をおこないます。
混合歯列期は、顎骨の新陳代謝が盛んなため、顎骨の成長をコントロールするのに適した時期です。これは永久歯列期からではできない治療なのです。

成長期のあご骨のコントロール

不正咬合には、歯の傾斜などが悪いためにおこる歯性不正咬合と骨格が悪くなっている骨格性不正咬合があります。
不正咬合は、成長とともに歯性不正咬合から骨格性不正咬合へ変化していき、骨格的な原因が強いほど咬合治療あるいは永久歯列期の治療が難しくなります。
永久歯列期の治療難易度のイメージは、非抜歯法<抜歯法<外科的矯正治療 となり、顎骨の成長をコントロールすることで、咬合治療を難易度の少ない治療へ誘導します。

咬合治療

小児歯列矯正(成長期治療)は、永久歯列の歯並びを改善する治療は含みません。永久歯列の歯並びの治療は咬合治療で行い、最終的に歯並び、かみ合わせ、横顔を整えます。治療方法は、モノブロック矯正治療法、マルチブラケット法(表側・裏側)、インビザラインなどがあります。
当院では、成長期治療から継続して行う咬合治療の方法として、「モノブロック矯正治療法」で進めます。この装置は成長期治療で環境整備をし、永久歯が並び、成長によるよい口元の変化が起きこるようにし、歯を抜かずに咬合治療へ進めるようにした上で、夜寝るときに装置を継続使用すると生え変わり終了時に歯並びが整っている方法です。お子様の負担が少なく、マルチブラケット法などよりも治療費が安価で、受診も2か月毎で、その他のメリットも多い矯正治療法です。モノブロック矯正治療法をご参照ください。モノブロック矯正治療法を希望されない場合は、成長期治療後にリテーナーを生え変わりまで使用し、生え変わり後からマルチブラケット法などの咬合治療へ移行します。
マルチブラケット法は、従来の方法ですべての治療に適応できます。
インビザラインはブラケットを使用しないため、

  • 歯ブラシが大変
  • うまく発音できない
  • 虫歯が心配
  • 装置、ワイヤーが外れる
  • 口内炎ができる

これらのトラブルがなく、快適に治療を進めることが利点です。

※インビザラインは歯並びやかみ合わせなどにより使用できない場合があります。

治療の概要

かみ合わせや顔立ちは人それぞれ違い、その不正咬合にあった治療を行わないと効果が出ないため、治療前に歯型、かみ合わせ、顔の写真、レントゲン写真などを分析し治療方針を決めます。

悪習癖の除去

指しゃぶりなどの悪い癖(悪習癖)は、不正咬合の悪化、助長になるため、治療と並行して癖の排除をおこないます。 言われないと気づかない癖としては、悪い飲みこみ方があり、これは舌の機能が低下し、口呼吸との相乗作用で、不正咬合を悪化させます。

歯列の拡大

V字型歯列弓は、永久歯の生えてくるスペースが少なくなるため、アーチを拡大し整えます。拡大すると、ベロが上顎歯列弓内にとどまりやすくなり、不正咬合悪化の予防や歯列弓形態の維持に役立ちます。

前歯の整列

前歯の永久歯をきれいに並べ替えます。

顎のコントロール

不正咬合では上下顎の成長バランスが悪いため成長をコントロールし、出っ歯、受け口、開咬などを治療します。
また、顎の成長をコントロールすることで咬合治療を簡易にする効果があります。

矯正歯科治療の装置について

装置の着脱式・固定式は、7才がボーダーラインの目安です。

  • 7才未満は、取外し可能な装置で進めます。
  • 7才以上は、固定式装置で進めます。

成長期矯正治療の拡大治療について

「床矯正」や「拡大床」という言葉を耳にしたことがある保護者さまもいらっしゃるかもしれません。拡大床とは、子どもの矯正治療に使われる装置で歯列を広げる目的で使用されます。しかし、単純に拡大をすれば歯並びがきれいになることにはつながりません。そこで、拡大の目的から説明をさせていただきます。

拡大の目的

  • 狭いV字型アーチをオーボイドへ修正して、顎が適正に成長するようにする。
  • 永久歯を生えてきやすくするために歯を左右方向および必要があれば前方へ動かし、V字型アーチをオーボイドへ修正する。
  • 上下第一大臼歯の悪いローテーションを修正し、CLⅠで咬合するようにする。
  • 上下第一大臼歯の悪い頬舌的傾斜(トルク)を修正し、ABCコンタクトで適正に咬合させる

上記の目的をすべて達成するための装置は、QHとBHです。

「QH、BH」と「床矯正」との違いについて

装置の機能の違い

拡大が必要なアーチはV字型になっており、拡大でアーチをオーボイドにするためには犬歯部と大臼歯部で拡大量が異なり、犬歯部の方が拡大量が多く必要です。これに対し床矯正では犬歯部と臼歯部の拡大量が同じになり、犬歯部を必要量拡大すると大臼歯部が広がりすぎになります。QH・BHはピンポイントの調整が可能なため、拡大量の異なる犬歯部と臼歯部でそれぞれ必要量の拡大が可能です。

QH

BH

上下の歯をCLⅠでしっかりかませる場合、上下第一大臼歯にDisto lingual rotationが必要ですが、不正咬合の第一大臼歯はこれとは反対のMesio lingual rotationになっていることが多く、この改善は拡大床では困難ですが、QH・BHでは以下のように改善ができます。また、Disto lingual rotationへ改善することで、側方歯萌出スペースの増加にもなります。

拡大すると、上顎第一大臼歯のTorqueが悪くなり(Buccal crown torque)、治療後に咬合が不安定になり易いため、Torqueコントロールが必要になりますが、拡大床ではこのコントロールはできません。 QH、BHではTorqueコントロールも容易にできます。

使用時間についての違い

  • 取外しができる装置は、患者さん本位になり使用しないと効果がでない。
  • QH、BHは固定式のため拡大が確実で、拡大床よりも短期間で済む。

以上の観点および咬合治療をモノブロック矯正治療ですすめるためには、6歳臼歯(第一大臼歯)のコントロールが重要になるため、7歳以上の患者さんの拡大は基本的にQH、BHで行います。 また、拡大後は前歯をブラケットできれいに並べます。

ここまでで1~1.5年で、拡大、前歯の並べなおしでよくなればリテーナーあるいはモノブロック矯正治療へ、出っ歯などが残っていればファンクショナルアプライアンスで改善します。

この一連の治療が成長期矯正治療で、この治療後は咬合治療へ移行します。

成長期矯正治療後の咬合治療は、以下の2通りあります。

  1. 成長期治療後にモノブロック矯正治療へ移行する方法 → モノブロック矯正治療
    (当院では、成長期治療の患者さんの9割以上がこの方法へ移行しています)
  2. 生え変わりを待って、マルチブラケット法(表・裏)やインビザラインで治療する方法
    (成長期治療から始めた場合も、永久歯列期から始めた場合も方法や装置は同じですが、咬合治療のみの場合抜歯のリスクがかなり高くなります)

小児歯列矯正の治療例

叢生・乱杭歯・八重歯の治療

永久歯の生えるスペースがない症例では、拡大により永久歯のスペースをつくります。
以下は側切歯(前から二番目の歯)の出るスペースを作った症例です。

治療前

成長期治療終了時

咬合治療終了時(非抜歯法:歯を抜かずに治療)

受け口(反対咬合)の治療

受け口を放置すると、歯の傾斜主体の反対咬合から骨格的に大きくずれる骨格性反対咬合へ移行し、横顔が三日月型になっていきます。骨格的なずれが大きいと永久歯列の矯正治療が難しくなるため、成長期治療では受け口を改善し、下顎が前へ出すぎないように予防します。最終的なかみ合わせは咬合治療でおこないます。

治療前

成長期治療終了時

開咬の治療

開咬は咬ませても上と下の歯がつかない(咬み合わない)状態のことで、前歯に生じることが多い不正咬合です。 放置すると発音障害が生じやすく、また、開咬は口呼吸と関係しているため呼吸が口呼吸となり、骨格的な開咬へ悪化していくため早期に治療が必要です。

治療前

成長期治療終了時